REAL-TIME STORY

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⑧:『敵襲』
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(ロケットランチャー!?)

そう思う暇もなかった。爆発音が響き渡り、俺たちを乗せた車が激しく揺れた。
とっさにハンドルを切った事で、直撃は避けられたものの、爆風で車が大きく傾ぐ。
ハンドルを操作し、体勢を立て直す。そのまま車を180度スピンターンさせ、元来た道を逆走する。

「ジャック!」
「どうやら向こうは、俺たちが来るのを待ち構えていたらしい」

爆風で、周囲の霧は晴れていた。
バックミラー越しに、軍用ジープが追い掛けてくるのが見える。助手席に乗っている男が窓から身を乗り出し、ロケットランチャーを構えていた。

「話し合いが通じる相手じゃなさそうだ。あなたの意志はどうあれ、敵はこちらを生かすつもりはないでしょう」
「……!」
「ボス、掃討の許可を。やらなければ我々が殺されます」

俺は懐の拳銃を抜いて言う。一瞬の沈黙の後、ブラントは答えた。

「さすがに今日ばかりは、命を奪うなとは言えないな」

頷いてハンドルを切り、思い切りブレーキを踏み込む。
逆走していた車がスピンし、再び反転して敵の車に向かう。フロントガラスの向こうに、敵の驚く表情が見えた。
助手席の男が、ロケットランチャーを撃つ。一瞬早くハンドルを操作し、最小限の動きでそれをかわす。そして敵の車とすれ違いざま、窓越しに拳銃を連射した。

弾丸はジープの窓を突き破り、敵を捉えた。運転席の男も助手席の男も、側頭部に銃弾を喰らって痙攣する。敵の車はコントロールを失い、道路脇の側溝に落ちて大破した。

「ふぅ……」

大きく息をつき、車を停める。
後方では先ほどの軍用ジープが、エンジンの空転音を立てている。周囲を警戒したが、ひとまず他の敵の気配はない。ブラントが苦い表情で呟く。

「……こちらの動きが、読まれていたという事か」
「そのようですね。傭兵を雇ったようだ」

軍用ジープにロケットランチャー。どちらも普通の企業が所持するはずのない代物だ。
この先にある研究所には、より大勢の敵が待っているだろう。ブラントが行く手を見据えて言う。
「ジャック、君の意見は?」
「引くと言っても、あなたは聞かないでしょう」
「たった二人で傭兵の一団に挑むか……今回も君に苦労をかけるな」
「おかげで退屈しませんよ」

ブラントが微笑を浮かべる。俺も笑みを返し、アクセルを踏み込んだ。