品川駅につき、改札前で古田警部を待った。
だがおっさん、呼び付けといて現れない。電話しても不通だ。
仕方なくスマホゲームをやって暇を潰していると、後ろから誰かにぶつかられた。
「わっ?」
「あ、ご、ごめんなさい!」
振り返ると背後に、金髪の女性がいた。
きれいな日本語だが、肌が白いところを見ると、外国の人らしい。彼女は僕に頭を下げ、走り去っていった。
(ちらっとしか見えなかったけど、可愛い子だったな……背筋もピンとして、仕事も出来そうだ。外資系企業のエリートってところかな)
去っていく彼女の後姿が、雑踏の合間に見える。僕とは色々な意味で大違いだ。
「よう誠、待たせたな。そんじゃさっそく札幌行くか」
振り返ると、くたびれた古田警部の顔があった。
美少女を見た余韻にもう少し浸っていたかったが、頭を仕事に切り替える。
「お、お疲れさまです、警部……どうやって札幌へ?」
「まずはモノレールで羽田空港、そこから飛行機で札幌だ。フライトは2時間弱。その間に事案について説明するよ」
警部は、モノレール乗り場に向けて歩き出す。
僕は慌ててそれを追った。